エコドライブとは、アイドリング・ストップや、急発進・急加速をしないなどの環境に配慮した運転のことです。
エコドライブで得られる効果として、次のようなことがあります。
- CO2、NOx、PMなどの自動車排出ガスを抑制する効果(環境改善効果)
- 燃費改善効果(経費削減効果)
- 事故防止効果
貨物運送事業者としては、「2. 燃費改善効果(経費削減効果)」が気になるのではないでしょうか。
神奈川県の試算では、エコドライブによる効果として「4トン車30台を保有する運送事業者が、エコドライブで燃費が15%改善と仮定すると・・・255万円/年の燃料費削減が可能」という報告もあります。
※保有車両数4トントラック30台、燃料使用量20万ℓ/年、燃料代2,000万円/年、軽油単価は97.89円/ℓと仮定して試算
エコドライブ10のすすめとは
「エコドライブ10のすすめ」とは、警察庁、経済産業省、国土交通省、環境省をメンバーとする「エコドライブ普及連絡会」が策定したエコドライブをするための指針です。
※トラック向けというわけではありませんが、トラックにも十分参考になります。
「エコドライブ10のすすめ」は以下の10項目からなっています。
- ふんわりアクセル「eスタート」
- 車間距離にゆとりをもって、加速・減速の少ない運転
- 減速時は早めにアクセルを離そう
- エアコンの使用は適切に
- ムダなアイドリングはやめよう
- 渋滞を避け、余裕をもって出発しよう
- タイヤの空気圧から始める点検・整備
- 不要な荷物はおろそう
- 走行の妨げとなる駐車はやめよう
- 自分の燃費を把握しよう
各項目について簡単に説明します。
1. ふんわりアクセル「eスタート」
発進するときは、穏やかにアクセルを踏んで発進しましょう(最初の5秒で、時速20km程度が目安です)。
日々の運転において、やさしい発進を心がけるだけで、10%程度燃費が改善します。
焦らず、穏やかな発進は、安全運転にもつながります。
2. 車間距離にゆとりをもって、加速・減速の少ない運転
走行中は、一定の速度で走ることを心がけましょう。
車間距離が短くなると、ムダな加速・減速の機会が多くなり、市街地では2%程度、郊外では6%程度も燃費が悪化します。
交通状況に応じて速度変化の少ない運転を心がけましょう。
3. 減速時は早めにアクセルを離そう
信号が変わるなど停止することがわかったら、早めにアクセルから足を離しましょう。
そうするとエンジンブレーキが作動し、2%程度燃費が改善します。
また、減速するときや坂道を下るときにもエンジンブレーキを活用しましょう。
4. エアコンの使用は適切に
車のエアコン(A/C)は車内を冷却・除湿する機能です。
暖房のみ必要なときは、エアコンスイッチをOFFにしましょう。
また、冷房が必要なときは、車内を冷やしすぎないようにしましょう。
たとえば、車内の温度設定を外気と同じ25℃に設定した場合エアコンスイッチをONにしたままだと12%程度燃費が悪化します。
5. ムダなアイドリングはやめよう
待ち合わせや荷物の積み下ろしなどによる駐停車の際は、アイドリングはやめましょう。
10分間のアイドリング(エアコンOFFの場合)で、130cc程度の燃料を消費します。
現在の乗用車では基本的に暖機運転は不要です。
エンジンをかけたらすぐに出発しましょう。
※排気ガス浄化装置を搭載したディーゼルトラックは、排気ガス浄化機能を維持させるため、一定時間停止して、アイドリングを行い、装置にたまったススを燃焼させる必要が生じる場合があります。これは、無駄なアイドリングではありません。
6. 渋滞を避け、余裕をもって出発しよう
出かける前に、渋滞・交通規制などの道路交通情報や、地図・カーナビなどを活用して、行き先やルートをあらかじめ確認し、時間に余裕をもって出発しましょう。
さらに、出発後も道路交通情報をチェックして渋滞を避ければ燃費と時間の節約になります。
たとえば、1時間のドライブで道に迷い、10分間余計に走行すると17%程度燃料消費量が増加します。
7. タイヤの空気圧から始める点検・整備
タイヤの空気圧チェックを習慣づけましょう。
タイヤの空気圧が適正値より不足すると、市街地で2%程度、郊外で4%程度燃費が悪化します(適正値より50kPa(0.5kg/cm2)不足した場合)。
また、エンジンオイル・オイルフィルタ・エアクリーナエレメントなどの定期的な交換によっても燃費が改善します。
8. 不要な荷物はおろそう
運ぶ必要のない荷物は車からおろしましょう。
車の燃費は、荷物の重さに大きく影響されます。
たとえば、100kgの荷物を載せて走ると、3%程度も燃費が悪化します。
また、車の燃費は、空気抵抗にも敏感です。
スキーキャリアなどの外装品は、使用しないときには外しましょう。
9. 走行の妨げとなる駐車はやめよう
迷惑駐車はやめましょう。
交差点付近などの交通の妨げになる場所での駐車は、渋滞をもたらします。
迷惑駐車は、他の車の燃費を悪化させるばかりか、交通事故の原因にもなります。
迷惑駐車の少ない道路では、平均速度が向上し、燃費の悪化を防ぎます。
10.自分の燃費を把握しよう
自分の車の燃費を把握することを習慣にしましょう。
日々の燃費を把握すると、自分のエコドライブ効果が実感できます。
車に装備されている燃費計・エコドライブナビゲーション・インターネットでの燃費管理などのエコドライブ支援機能を使うと便利です。
エコドライブでトラックの燃費改善
トラックでもエコドライブをすることにより燃費が大幅に改善します。
運転時のポイントとしては、
- ゆっくり穏やかにアクセルを踏んで発進すること
- 一定の速度で走ること
- 減速時はエンジンブレーキを使用すること
です。
ドライバーの意識改革を
ドライバーにエコドライブを押し付けるのではなく、ドライバーにその気になってもらうことが必要です。
そのためには、運行管理者が
- エコドライブの大切さを十分説明し
- ドライバーの不平・不満にも耳を傾け
- しっかりフォローする
ことが大事です。
ドライバーに対する教育を続けると、
- ドライバーの意識が改善し
- 燃費が改善すること
が期待できます。
エコドライブとグリーン経営認証・Gマーク認定
グリーン経営認証を取得していることは、Gマークの認定を受けるための評価項目のひとつです。
グリーン経営とは、「環境負荷の少ない経営」のことです。企業の社会的責任として、環境問題にも積極的に取り組んでいくことが求められています。
エコドライブを実施していることはグリーン経営認証を取得するための認証基準の一つです。
エコドライブは、会社が社会的な責任を果たすための要件の一つと言えます。