レンタカー業とは、自動車を有償で貸し出す事業のことを言います。
レンタカー業を始めるには、道路運送法に基づく自家用自動車有償貸渡業の許可を取得しなければなりません。
レンタカー業の許可は、株式会社などの法人だけでなく個人事業主も取得することができます。
個人で営んでいるレンタカー業を法人化(法人成り)したい場合は、事業の譲渡譲受の手続きを行ないます。
以下では、新たにレンタカー業を始める場合の手続きの流れについて説明します。
レンタカー業を開業するまでの流れ
レンタカー業を開業するまでのおおまかな流れを以下に示します。
- 許可要件の確認
- 許可申請書類の作成
- 許可申請書の提出
- 運輸局の審査
- 許可の取得
- 登録免許税の納付
- 車両の登録
- 営業開始
1.レンタカー業許可要件の確認
レンタカー業許可の要件は、次のようなものです。
①申請者が次の欠格事由に該当しないこと
ア 許可を受けようとする者が1年以上の懲役又は禁錮の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過していない者であるとき。
イ 許可を受けようとする者が、一般旅客自動車運送事業、特定旅客自動車運送事業、一般貨物自動車運送事業、特定貨物自動車運送事業又は自家用自動車の有償貸渡しの許可の取消しを受け、取消しの日から2年を経過していない者であるとき。
ウ 許可を受けようとする者が営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者又は成年被後見人である場合において、その法定代理人が前記ア及びイに該当する者であるとき。
エ 許可を受けようとする者が法人である場合において、その法人の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。以下同じ。)が前記ア及びイ並びにウに該当する者であるとき。
②申請者及びその役員が、申請日前2年前以降において、自動車運送事業経営類似行為により処分を受けていないこと。
③貸渡自動車のすべてを収容する車庫を有していること。
④自動車保険に加入すること。
補償の最低額は以下のように定められています。
- 対人保険
1人当り 8,000万円以上 - 対物保険
1件当り 200万円以上 - 搭乗者保険
1人当り 500万円以上
2.レンタカー業許可申請書類の作成
運輸支局に提出する許可申請書を作成します。
※許可申請に必要な書類は、運輸支局により異なることがあります。
申請者が法人の場合に必要な書類
- 自家用自動車有償貸渡許可申請書
- 貸渡料金表
- 貸渡約款
- 履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
- 個人の場合、住民票
- 欠格事由に該当しない旨の確認書
- 事務所別車種別配置車両数一覧表
- 貸渡しの実施計画
申請者が個人の場合に必要な書類
- 自家用自動車有償貸渡許可申請書
- 貸渡料金表
- 貸渡約款
- 住民票
- 欠格事由に該当しない旨の確認書
- 事務所別車種別配置車両数一覧表
- 貸渡しの実施計画
レンタカー型カーシェアリングの場合に必要な書類
レンタカー型カーシェアリングを行なう場合は、上記に加えて下記の書類が必要です。
- 貸渡自動車の車名及び型式
- 貸渡自動車の保管場所(デポジット)の所在地、配置図
- 貸渡自動車の保管場所を管理する事務所の所在地
- IT等の活用により行う車両の貸渡し状況、整備状況等車両の状況の把握方法
- 車両、エンジンキー等の管理・貸し出し方法
- 会員規約又は契約書
- エコドライブについて会員に研修・啓蒙を行う実施計画
貸渡自動車として環境に配慮した車両(ハイブリッド車やアイドリング・ストップ車など)を使用しない場合 - ワンウェイ方式の実施に係る確約書
ワンウェイ方式のレンタカー型カーシェアリングを実施する場合
ワンウェイ方式のレンタカー型カーシェアリングについて
ワンウェイ方式のレンタカー型カーシェアリングとは、貸渡し車両が他の路外駐車場等に返還され、必ずしも配置事務所に返還されない形態のものを言います。いわゆる乗り捨て方式のカーシェアリングのことです。
3.許可申請書の提出
提出先は、営業所を管轄する運輸支局の輸送部門です。
4.運輸局の審査
申請書を提出して申請が受理されると、運輸支局での審査が開始されます。
5.許可の取得
公示されている審査基準の内容を全て満たしていれば許可されます。
申請が受理されてから許可が出るまでの期間は約1カ月です。
6.登録免許税の納付
登録免許税9万円を金融機関で納付します。
7.車両の登録
レンタカー業で使用する車両を登録します。いわゆる「わナンバー登録」です。
8.営業開始
営業所内に「貸渡約款」「貸渡料金」を掲示し、「貸渡証」「貸渡簿」を整えたら、営業を開始することができます。