貨物軽自動車運送事業者は、特定の運転者に対して、交通事故の未然防止を図るための特別な指導等を実施しなければいけません。
2025年(令和7年)3月末までに貨物軽自動車運送事業経営届出を行った事業者(既存事業者)は、2028年(令和10年)3月31日までに実施する必要があります。
特別な指導を実施する特定の運転者
特定の運転者とは、以下の運転者をいいます。
- 初任運転者
過去に一度も特別な指導・適性診断を受けていない者 - 高齢運転者
65歳以上の者 - 事故惹起運転者
死者または負傷者が生じた事故を引き起こした者
指導の目的
特定の運転者に対する指導の目的は、それぞれの運転者の状況に応じて交通事故を防ぐことにあります。
指導対象の運転者 | 指導の目的 |
---|---|
初任運転者 | 事業用自動車の運行の安全を確保するために必要な運転に関する技能及び知識を十分に取得していない初任運転者に交通事故の未然防止を図ること |
高齢運転者 | 加齢に伴い身体機能が変化しつつある高齢運転者について交通事故の未然防止を図ること |
事故惹起運転者 | 交通事故を引き起こした事業用自動車の運転者についてその再発防止を図ること |
指導する内容
実施した場合は、貨物軽自動車運転者等台帳に記録して保存します。
指導対象の運転者 | 指導する内容 | 指導時間 |
---|---|---|
初任運転者 | ① 貨物自動車運送事業法その他法令に基づき運転者が遵守すべき事項 ② 事業用自動車の運行の安全を確保するために必要な運転に関する事項 ③ 安全運転の実技(添乗指導) |
• ①と②で合計5時間以上 • ③は可能な限り実施 |
高齢運転者 | 適性診断の結果を踏まえ、個々の運転者の加齢に伴う身体機能の変化の 程度に応じた安全な運転方法等について、運転者自らが考えるよう指導 | |
事故惹起運転者 | ① 事業用自動車の運行の安全の確保に関する法令等 ② 交通事故の事例の分析に基づく再発防止対策 ③ 交通事故に係る運転者の生理的及び心理的要因と対処法 ④ 事故防止のために留意すべき事項 ⑤ 危険の予測及び回避 ⑥ 安全運転の実技(添乗指導) |
• ①~⑤で合計5時間以上 • ⑥は可能な限り実施 |
記録・保存方法
書面または電磁的方法により記録・保存します。
既存事業者が特別な指導を実施するタイミング
既存事業者とは、2025年(令和7年)3月末までに貨物軽自動車運送事業経営届出を行った事業者をいいます。
既存事業者には、特別な指導を行なうにつき、猶予期間が設けられています。
「初任運転者」の場合
- 運転者が2025年(令和7年)3月31日以前に「初任運転者」の対象となった場合は、2028年(令和10年)3月31日までに実施する必要があります。
- 運転者が2025年(令和7年)4月1日~2028年(令和10年)2月29日に「初任運転者」の対象となった場合は、2028年(令和10年)3月31日までに実施する必要があります。
- 運転者が2028年(令和10年)3月1日以降に「初任運転者」の対象となった場合は、原則として初めて事業用自動車に乗務する前に実施する必要があります。やむを得ない事情がある場合は、乗務開始後1カ月以内に実施する必要があります。
「高齢運転者」の場合
- 運転者が2025年(令和7年)4月1日~2027年(令和9年)3月31日に「高齢運転者」の対象となった場合は、2028年(令和10年)3月31日までに適性診断を受診し、そこから1カ月以内に特別な指導を実施する必要があります。
- 運転者が2027年(令和9年)4月1日以降に「高齢運転者」の対象となった場合は、規定※2に基づく時期に適性診断を受診し、そこから1カ月以内に特別な指導を実施する必要があります。
「事故惹起運転者」の場合
- 運転者が2025年(令和7年)4月1日~2028年(令和10年)2月29日に「事故惹起運転者」の対象となった場合は、2028年(令和10年)3月31日までに実施する必要があります。
- 運転者が2028年(令和10年)3月1日以降に「事故惹起運転者」の対象となった場合は、交通事故を起こした後、再度事業用自動車に乗務する前に実施する必要があります。やむを得ない事情がある場合は、再度乗務開始後1カ月以内に実施する必要があります。外部の専門機関で指導講習を受講する予定の場合は除きます。
(出典元:国土交通省『貨物軽自動車運送事業における安全規制について』)